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翻訳支援ツールを使った翻訳・ローカライズの進め方

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翻訳・ローカライズを進めるために、または業務効率化/生産性向上のために、翻訳支援ツールの導入を検討するとき、ツールの学習コストが導入要否のポイントに含まれるかと思います。翻訳支援ツールには様々な便利な機能が搭載されていますが、逆にそれが複雑に感じる要因となり、導入のハードルが上がる理由の一つかもしれません。この記事では、そのような方々のために、翻訳支援ツールを使った翻訳・ローカライズの基本的な進め方をご紹介致します。

基本的な進め方を学ぶことで、押さえるべき必要最低限の機能を知ることができ、ツールの習得はそこまで難しくないことにお気づきになられるかと思います。また、翻訳支援ツールを学習する翻訳者/チェッカーの方も、全体的な流れを把握することで、翻訳支援ツールへの理解が深まるかと思います。この記事では、翻訳業務で最も使われているSDL Trados Studioをモデルとして説明しますが、他の翻訳支援ツールにも置き換えられるような構成で説明致します。

前提

翻訳支援ツールは、次の担当者が存在することを前提に開発されています。

  • 翻訳コーディネーター(プロジェクトマネージャー)
  • 翻訳者
  • チェッカー(レビューア、リンギスト)

準備

翻訳支援ツールで翻訳するには、最初に翻訳・ローカライズ対象ファイルを管理するためのプロジェクトを作成する必要があります。

プロジェクトの作成

翻訳支援ツールでプロジェクト作成機能を実行します。画面のガイダンスに従って、次のような項目を設定して、プロジェクトを作成します。

  • プロジェクト名
  • プロジェクトを作成するフォルダの場所
  • 言語ペア(原文言語と訳文言語)
  • 翻訳対象ファイル
  • 参照対象の翻訳メモリー(保有している場合)
  • 作業用の翻訳メモリー(翻訳した分節(セグメント)を随時登録)

解析

プロジェクトを作成すると、同時に作業量も解析されます。解析結果を表示する画面(レポート画面)を開くと、全体およびファイルごとの作業量を確認できます。

Tips
作業量は、主に分節(セグメント)、単語、文字単位で数値化されます。確認対象の単位は言語ごとに異なります。一般的に、英語の場合は単語数を、日本語の場合は文字数を確認して、作業量を計測します。

パッケージの作成

翻訳支援ツールには、翻訳コーディネーターと翻訳者/チェッカーの間で、翻訳対象ファイルを受け渡しするためのパッケージという仕組みが存在します。翻訳コーディネーターは、作業を依頼する翻訳者/チェッカーが確定したら、翻訳支援ツールでパッケージを作成して、翻訳者/チェッカーに渡します。パッケージには、プロジェクト情報が記載された管理ファイル、翻訳対象ファイル、翻訳メモリーなどが含まれています。

翻訳/チェック

翻訳者/チェッカーは、翻訳コーディネーターから受け取ったパッケージを開くと、そのまま翻訳を開始できます。

翻訳エディター

翻訳支援ツールには、翻訳専用のエディター機能が搭載されています。翻訳対象のファイルは、このエディターを使って翻訳します。また、翻訳エディターを使うときに押さえておきたい概念を紹介致します。それは、ステータスです。

ステータス

ステータスは、訳文が最終決定(公開)されるまでの進捗状態を表し、分節(セグメント)単位で管理できます。翻訳支援ツールによって、ステータスの種類や数が異なりますが、SDL Trados Studioを例にすると、以下のステータスで進捗管理します。

  1. 未翻訳(Not Translated)
  2. 翻訳中(Draft)
  3. 翻訳済み(Translated)
  4. 翻訳承認済み(Translation Approved)
  5. リリース(Signed Off)

各ステータスについて、詳しく見ていきましょう。「未翻訳(Not Translated)」「翻訳中(Draft)」は文字通り、未翻訳の状態と、翻訳中の状態を表します。あと3つのステータスはどういう意味でしょうか?

翻訳済み(Translated)

翻訳者が翻訳した後に切り替えるステータスです。翻訳者は、「未翻訳(Not Translated)」の分節(セグメント)を翻訳して、ステータスを「翻訳済み(Translated)」に切り替えます。「翻訳中(Draft)」との違いは、訳文が確定したかどうかという点です。

翻訳承認済み(Translation Approved)

チェッカーが、「翻訳済み(Translated)」の翻訳をチェックして、ステータスを「翻訳承認済み(Translation Approved)」に切り替えます。

リリース(Signed Off)

翻訳コーディネーターまたは品質管理するチェッカーが、「翻訳承認済み(Translation Approved)」の分節(セグメント)をチェックして、ステータスを「リリース(Signed Off)」に切り替えます。

Tips
翻訳支援ツールの機能を使って、参照用の翻訳メモリーで自動翻訳した分節(セグメント)は、ステータスが自動的に「翻訳済み(Translated)」に切り替わります。

納品

作業を進めて、各分節(セグメント)のステータスを切り替えたら、返却パッケージを作成して、納品します。

翻訳コーディネーターは、返却パッケージを開き、作業済みファイルをインポートします。そして、新しいパッケージを作成して次の工程の担当者に渡すか、翻訳コーディネーター自身がファイルを開き、全体チェックして、各分節(セグメント)のステータスを切り替えます。

Tips
翻訳コーディネーターとして経験上、操作ミスなどによって、一部分節(セグメント)のステータスが正しく切り替えられずに納品される場合があります。そのまま新しいパッケージを作成して次の工程の担当者に渡すと、途中で作業が進められず、結果的にタイムロスにつながりますので、翻訳コーディネーターの方は納品されて新しいパッケージを作成する前に、必ずステータスを確認しましょう。

成果物

翻訳が完了したら、以下の成果物を作成します。

  • 訳文ファイル
  • 翻訳メモリー

訳文ファイル

ツールの該当機能を実行すると、訳文ファイルが自動的に生成されます。

Tips
翻訳支援ツールは、様々なファイルフォーマット(html、xml、xlsxなど)に対応していますが、訳文ファイルを生成すると、一部のタグや書式が原文ファイルと一致しない場合があります。そのため、訳文ファイルを生成した後、レイアウトを確認することをおすすめします。

翻訳メモリ

翻訳メモリーとは、翻訳した分節(セグメント)をファイルに記録して、その後の翻訳作業で効率的に参照するための仕組みです。翻訳メモリーについて詳しくは、「押さえておきたい翻訳支援ツールのファイル形式」を参照してください。翻訳が完了して訳文ファイルを作成したら、今後の翻訳作業に備えて、翻訳メモリーを作成することをおすすめします。

Tips
翻訳メモリーには大きく2種類あります。一つは、翻訳支援ツール独自の翻訳メモリーです。例えば、SDL Trados Studioの翻訳メモリーは、ファイル拡張子がsdltmという独自形式で構成されます。もう一つは、どの翻訳支援ツールでも使用可能な汎用的な翻訳メモリーです。具体的には、tmxファイルです。翻訳メモリーを作成する時は、これら2種類の翻訳メモリーを作成することをおすすめします。

まとめ

いかがでしょうか? 翻訳支援ツールは、翻訳・ローカライズの業務効率化/生産性向上のために作られました。ガイドブックによっては説明内容が難解な場合があるかもしれませんが、このツールの目的を念頭に、基本的な進め方を押さえると、翻訳支援ツールの各機能の理解と操作方法の習得が早くなるかと思います。是非、諦めず頑張ってください!

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